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アクセント核の聞き取り に関して、次のことがわかっています。
フィードバックの方法をいくつかご紹介します。
アクセント核の聞き取りに関して、次のことがわかっています。
フィードバックの方法をいくつかご紹介します。
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フィードバックの方法
最もシンプルなフィードバックの方法は、成績表を返却して、学生に分析してもらい(正解と回答を比較しながら、どこを間違っているか、何型が聞き取れていないかを把握してもらい)、弱いところを集中的に練習してもらうことです。成績表を返却する際に学生の回答用紙も一緒に返却します。
時間が許せば、返却してもらった回答用紙に各自赤ペンで正解を記入してもらい、正しいアクセントで単語を読み上げる練習をします。
学生が自力で聞き取り能力を改善することが困難な場合は、教師が介入して、後述する「成績が伸びた人が使う聞き取りのコツ」を試してみてください。
クラスの中に成績が大きく伸びた学生がいれば、どのように聞き取れるようになったか聞き取りのコツを発表してもらい、クラスで共有するのもいいでしょう。
フィードバックをするときは、最初からすべてを取り上げるよりは、間違った場合にネイティブに違和感が強い、1型と0型の区別から始めて、2型、それ以外の型の順に進めます。
アクセント核(ピッチの急な下降)の聴き方は人それぞれです。アクセント核が置かれた拍はピッチが高く、その次の拍はピッチが低いですが、
(1)低いピッチを聴いて前の拍のピッチが高いと判断する人もいれば、
(2)アクセント核のある拍のピッチが(次を下げるために他のH音調よりもわずかに)さらに高いことを聴いてそこにアクセント核があると判断する人もいます。
フィードバックの際に一つの方法に固執する必要はありません。上記のようにピッチの何に反応するかは人それぞれなので、A方法がだめなら、B方法を試す、といったマインドでいきましょう。アクセントに興味がない学生にはどんな方法を使っても改善は見られません。その際は焦らずに、学生がアクセントに興味を示すまで待ちます。学生が(アクセントを学習する)準備ができた時に指導すればいいのです。
成績を伸ばすための聞き取りのコツ
アクセント核の同定を難しくする要因を取り除いて正答率アップにつなげます。下のA~Cのうち、Aは1回目のテストから説明します。Bはテストを重ねても0型の成績が上がらないときに説明します。最初からたくさんの説明をすると、どれもインパクトがなくなるので(学生の頭に残らないので)、最も重要なAを先に導入し、続いて必要に応じて、B、Cを導入します。
A アクセント核を担わない音
・共通語アクセント(東京式アクセント)で、アクセント核は音節に付与されます。従って、前の拍と合わせて一つの音節を形成する特殊拍(長音、促音、撥音)にアクセント核は来ません(京阪式アクセントでは特殊拍もアクセント核を担います)。同様に、二重母音/ai/の副音/i/にもアクセント核が来ません(「あい、かい、がい、さい、ざい、たい、だい、ない、はい、ぱい、ばい、まい、らい」の「い」)。特殊拍と/ai/の/i/にアクセント核があるように聞こえたら、一つ前の拍にアクセント核を移動させるように毎回のテストの前に注意喚起します。これだけでも成績は大きく伸びます。
・成績表を返却する際に、特殊拍にアクセントマークがある回答用紙には赤ペンで印を入れて学生に間違ったことに気づかせます。学生に直接声をかけるのもいいでしょう。
B ピッチの下降と上昇
・共通語アクセントは、アクセント核がどこにあるかでアクセントの型(タイプ)が決まるため、アクセント核の位置の同定が重要です。アクセント型とは無関係ですが、単一語の単独発話の場合、1拍目と2拍目の高さは異なり、これが新しい語が始まるサインになります。
・例えば、3拍語の2型の場合、アクセントはLHLです。2拍目と3拍目のHLにおけるピッチの下降はアクセント核として語の区別にかかわりますが、1拍目と2拍目のLHにおけるピッチの上昇は東京式アクセントでは語の区別にはかかわりません(京阪式アクセントでは語の区別にかかわります)。
・アクセント核の位置を聞くときに、語頭のピッチ変化(ピッチの上昇)に気をとられて、肝心なアクセント核(ピッチの下降)を聞き逃すことがあります。聞き取りの際は、上がるところは気にせず、下がるところを聞くようにアドバイスします。
C アクセントのピッチ下降とイントネーションのピッチ下降
単一語の平叙文の場合、語末には平叙文の下降イントネーションがかかり、ピッチが下がります。このイントネーションによるピッチの下降をアクセント核によるピッチの下降に聞き間違えることがあります。
・両者は、アクセントは「急な」下降、イントネーションは「緩やかな」下降で区別されるはずですが、実際はネイティブでも区別が難しい場合があります。とくに拍数の長い語でアクセント核が末尾の近くにある語は、末尾のイントネーションと絡んで区別が非常に難しくなります。
・0型の4拍語、5拍語の語に対して、それぞれ3拍目、4拍目にアクセント核があると判断した聴者は、0型の末尾にかかった下降イントネーションのピッチ下降を、アクセント核による下降と聞き間違えた可能性があります。テストを繰り返しても0型の成績が改善しない場合は、回答用紙のマークの位置を確認します。イントネーションの影響が疑われる場合は、「緩やかな」下降ではなく、「急な」下降を聞くようにアドバイスします。
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成績が伸びた人が使う聞き取りのコツ
フィードバックの効果が大きかった(複数の人に効果が見られた)順に紹介します。
A モデル音声ではなく,学生自身の発音を聞いてアクセント核の位置を特定する
・教師が学生に返却した成績表から不正解だった単語を一つ選んで、学生に不正解のまま(間違ったアクセントのまま)発音してもらい、その発音が合っているか(違和感はないか)を尋ねます。学生が違和感があると言ったら、普段話しているアクセントで発音してもらい、本人が発音した語のアクセント核がどこにあるか特定してもらいます。特定がうまく行った場合は、ほかの単語もいくつか同様の方法でやって、アクセント核が確実に聞き取れるようになったことを確かめます。この方法の効果は大きく、人によってはその場ですべてのアクセント核が聞き取れるようになることもあります。ただし、この方法は共通語アクセントで話すことができる人に限ります。(日本語のネイティブであれば、は出身地が共通語地域でなくても、共通語音声に長年露出されてきているので、共通語として違和感があるかないかの判断はできるはずです)
B ハミングでアクセント核の位置を特定する
・教師が単語をハミングで提示し、その後続けて単語を発音して高さを確認してもらいます(下の例は2語ずつあるが、1語だけにしてもよい)。同時に、手で高い・低いを表現して見せることもできますが、まずはハミングという聴覚情報だけを提示します(耳を鍛えます)。聴覚情報だけで効果がない場合は、手振り(手で高い、低いを表現)という視覚情報を加えます。
C アクセント型を確実にわかっている語を利用してアクセント核の位置を特定する
・不思議なことに、同じアクセント型でも、ある語はわかりやすいのに、別の語はわかりにくいと言う人がいます。その場合は、アクセント核を確実にわかっている語を利用してその語をモデルにして同じアクセント型の語を同定します。例えば、上記の1型の「からす」の聞き取りに問題がなければ、「からす」と「もみじ」が同じアクセントだと判断して「もみじ」のアクセント核が1拍目にあると判定する、0型の「まじめ」が聞き取れたらそれと同様に発音される「とけい」も0型と判定する、といった具合です。

一人で練習できるサイトを学習者に紹介してあげましょう
「さんまシリーズ」は、いわしテストと同じ形式ですが、各回10問で構成されています。
「NALA-J」では、無意味語や文中の単語のアクセントの聞き取り練習ができます。
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